テニスコーチ カタルが語るブログ

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役に立つメンタルトレーニング!【 怒りのコントロール編 】

 

カタルです。

 

競技スポーツを行っている選手達には、プレー中、様々なストレスが降りかかっています。

そんな、ストレス下に置かれた選手達に発生するのが、『 怒り 』『 恐怖 』などのメンタル問題です!

 

今回は、そんなメンタル問題の中の一つ、『 怒り 』をコントロールするための方法を、僕が教えているジュニア選手達に行っている〈 メンタルトレーニング 〉の中から紹介して行きたいと思います。

 

 

 

 

 

※ここからの内容は、参加式の〈 メンタルトレーニング 〉になりますので、悩んでいる方は、読むだけではなく同時に行ってみて下さい。

 

〈 メンタルトレーニング 〉を行う前に、こちらの記事をどうぞ⇩

tenniscoachkataru.com

 

 

イライラの原因を理解し、『 怒り 』をコントロールする!

 

❏ 『 怒り 』とは何か?を考える!

・『 怒り 』の感情とは?

『 怒り 』の感情

悔しい、不満、敵意、嫌悪感、不信感、拒絶感、憎しみ、恨み、焦り、自己嫌悪、恥ずかしさ、情けなさ、後悔、罪悪感、罪の意識 など…

『 怒り 』とは、単純な一つの感情ではなく、様々な状況下でその姿を変えて行くものです。

そしてそれは、他人や起こった出来事と言った外的な物だけではなく、自分に対しても向けられます。

 

・『 怒り 』は《 過去 》から生まれる!

『 怒り 』を感じると言う状態は、《 過去 》に起こった出来事に対して生じた様々な感情から生まれます。

つまり『 怒り 』とは、ネガティブな《 過去 》の出来事を思い出すことで生れる、後天的な感情なのです!

 

・『 怒り 』を抑えると、やる気が低下する…

『 怒り 』を感じた状態自体は無くしたいものですが、『 怒り 』や悲しみと言うネガティブな感情を感じないように遮断してしまうと、喜びやワクワクと言ったポジティブな感情も感じなくなってしまうと言われています。

そして『 怒り 』は、やる気のエネルギー源にもなっています。

抑え込むのではなく、どのように昇華させるのか?と言う視点が必要なのです!

 

・『 怒り 』は成長の糧になる!

『 怒り 』は、自分が成長する上で必要な感情でもあります。

この『 怒り 』を成長の糧にするために必要なのが「 『 怒り 』に気づく 」「 原因を理解する 」「 対処できるやり方を実践する 」の3つのステップです。

この3つを意識することで、今後同じことが有っても『 怒り 』に蝕まれること無くこれまでとは違った感覚で怒りを認識し、成長や学びに繋げることが出来るようになって行きます。

 

 

❏ 『 怒り 』の原因を理解する!

それではまず、自分が感じた事のある『 怒り 』を書き出し、それがどんな感情から来ているかも書きましょう。

自分が感じた『 怒り 』を書き出し、思い当たる感情も書きましょう。

例  (例と一緒の場合は〇で囲いましょましょう)

何回もイモリやがって!(相手のジャッジに対する不信感)

なんでこんなショットをミスるんだ!(自分の技術への不満)

イレギュラーばかりする!(コート環境に対しての不満)

 

 

 

 

 

 

 

 

『 怒り 』は、大きく分けて3つの原因で生じます。

この3つの原因を理解することで、冷静な対応と再発防止が出来るようになって行きます。

それではこの3つの原因について詳しく考えて行きましょう!

 

⓵前提が崩れる 

前提とは、期待していたことや予想していたことと、自分にとっての常識や当たり前と思っていたこと、又は思い込みのことを意味しています。

自分が思っていたこととは別の事が起きた、「 期待外れ 」「 予想外 」つまり前提が崩れた時に怒りを感じるのです。

自分が『 怒り 』の原因になっていると思う「 期待や予想、常識や思い込み 」だと思えるものを書き出しましょう。

例  (例と一緒の場合は〇で囲いましょましょう)

今日の相手は弱いから楽勝だ!→ 思ったより強い…(予想外、思い込み)

今日は調子が良いからエースを量産できるだろう。→ 全くエースが取れない…(期待外れ)

今日の相手はミスが多いから粘れば勝てる。→ 相手のミスが少ない…(予想外、思い込み)

 

 

 

 

 

 

 

過剰な期待や思い込みは『 怒り 』を生みます。

物事はイレギュラーの連続で、何が起こるか分からないと常に考えることで冷静かつ柔軟な対応が出来るようになるのです。

 

②価値観の違い 

価値観とは、自分が様々な状況や場面によって大切に感じている物で、それこそが自分自身とも言えます。

価値観は人それぞれ違います。それは対戦相手との関係だけでは無く、ダブルスパートナー、チームメイト、親子など人間関係に影響を及ぼす『 怒り 』に発展します。

自分が『 怒り 』の原因になっていると感じる『 価値観の違い 』を書き出しましょう。

例  (例と一緒の場合は〇で囲いましょましょう)

ジャッジはクリーンにするものだ。→ イモい…(対戦相手)

勝つために最善を尽くそう。→ 楽しくプレーしよう。(ダブルスパートナー)

一緒に自主練しよう。→ 休みたいから無理…(チームメイト)

 

 

 

 

 

 

 

「 あなたが大切にしている価値観 」と「 その人が大切にしている価値観 」は違って当然です。

そう言うことが理由だと理解することで過剰な反応をすることも無く、円滑なコミュニケーションを進めることが出来ます。

上に書いた『 価値観の違い 』を『 相手の価値観 』として理由を考えてみましょう。

例  (例と一緒の場合は〇で囲いましょましょう)

イモい…(対戦相手)→ 強くなるより目の前の結果にこだわる人?

楽しくプレーしよう。(ダブルスパートナー)→ その考え方でリラックスしようとしてる?

休みたいから無理…(チームメイト)→ 疲労回復することにこだわりがある?

 

 

 

 

 

 

 

ただ…

チームやパートナーとしては出来るだけ「 同じ価値観 」を共有したいものです。

様々な価値観を知った上で「 自分の価値観 」を変えて行く事も、円滑なコミュニケーションを進めるうえで必要だと考えて下さい。

チームとして、パートナーとして共有したい『 価値観 』とその理由を書いてみましょう。

例  (例と一緒の場合は〇で囲いましょましょう)

練習中は全力でプレーする!(日々全力でプレーすることを当たり前にしたい)

 

 

 

 

 

 

 

 

③不健康な状態

寝不足や栄養不足などによる不健康な状態は感情に大きく影響します。

健康な時には気にならないことにも敏感に反応し『 怒り 』を感じてしまいます。

健康状態での変化を理解しつつ、しっかり体調管理することが、『 怒り 』をコントロールする上で大切なのです。

 

 

❏ 『 怒り 』をコントロールする方法を知る!

《 『 怒り 』の特徴を理解し利用したコントロール法 》

ⅰ 『 怒り 』を感じている時の身体的特徴を利用する

① 呼吸のコントロール

『 怒り 』を感じている時の呼吸は、荒くなったり、止めていたりします。

『 怒り 』を感じていることに気が付いたら、深く静かな呼吸を意識して『 怒り 』をコントロールして行きます。

 

② 目線のコントロール

脳と目線にはつながりがあり、感情を脳で処理しているとき目線は下を向いています。

『 怒り 』を感じていることに気が付いたら、すぐに目線を上に向け、感情を司る脳へのアクセスを遮断して『 怒り 』をコントロールします。

これは、不安やパニックといった状態の時にも効果的です。

 

③ 姿勢や表情のコントロール

感情は、体が先に知覚して、その後に心で感じるのだと言う考え方が有ります。

『 怒り 』の場合、眉にしわがより、歯を食いしばり、肩を強張らせるなどの反応が現れます。

このように、表情や姿勢の状態は感情に大きく影響します。

つまり、それを逆手に取って表情や姿勢を変えることで『 怒り 』の感情を変えることが出来るのです。

 

ⅱ 『 怒り 』を感じている時の脳内の特徴を利用する

① 6秒間を上手く過ごす

脳内の『 怒り 』の感情そのものは6秒間で消えると言われています。

イライラの継続は「 原因を思い出す 」→「 怒る 」を繰り返しているのです。

『 怒り 』を感じた時、6秒後に消えることを意識し、その後に思い出さない行動が取れれば、『 怒り 』をコントロールすることが出来るのです。

 

『 怒り 』から感情を切り離す

『 怒り 』を感じた原因から感情を切り離すための行動をとります。

方法は「 場所を移動する 」「 原因から距離を取る 」「 見る位置を変える 」などです。

一旦『 怒り 』の原因に対する視点を変え、感情を切り離すことでイライラの継続を抑えコントロールします。

 

③ ツールを使って『 怒り 』の感情を切り離す

『 怒り 』を感じた時、自分が身に着けている物(ツール)など、愛着のある物に目線を送ることでそれに対しての感情を思い出し、『 怒り 』の感情を緩和させてイライラの継続を抑えコントロールします。

 

④ イメージを使って『 怒り 』の感情を切り離す

『 怒り 』を感じた時、イメージの中で視点を変え「 自分の視点の位置 」から「 第三者の視点の位置 」に離すことで、客観的な物の見方が出来るようになり、『 怒り 』の感情が薄らいだり、全く気にならない状態にすることが出来ます。

このようにイメージの工夫次第で、『 怒り 』の感情のコントロールが出来るようになるのです。

 

 

《 感覚を変えることで『 怒り 』をコントロールする 》

ⅰ 『 怒り 』を感じている時の感覚を利用する

① 視覚情報を変える

まず『 怒り 』を感じた時の映像はどんなものかを考え想像します。

その映像を小さくしたり、場所を移したり、白黒にしたり、距離を遠くするなど『 怒り 』の感情が薄れるまで編集したり加工したりを繰り返します。

 

② 聴覚情報を変える

まず『 怒り 』を感じた時に聞こえてくる音や声を特定します。

その音を早くしたり遅くしたり、聞こえる場所を変えたり、逆再生したり、音声を変えるなど、映像同様『 怒り 』の感情が薄れるまで編集したり加工したりを繰り返します。

 

③ 体感情報を変える

まず『 怒り 』を感じた時、体のどこで感じているのか、それがどんな形と素材なのかを特定し想像します。

例えば「 ゴツゴツした岩 」「 鉄球 」「 熱湯の入った鍋 」などを想像し、固いものは柔らかく、熱いものは冷めた状態へ… など、その特徴を変化させることで『 怒り 』を薄れさせます。

 

この3種類のイメージトレーニングを行ってみて、自分に合うものを見つけれると良いと思います!

 

ⅱ 考え方を変えることで『 怒り 』を成長の切っ掛けにする

『 怒り 』に対して、「 今のままでは通用しない、だから〇〇しよう! 」「 このままでは理想に近づけない、だから〇〇しよう! 」「 他の視点を必要としている、だから〇〇しよう! 」などの考え方が出来るようになれば、『 怒り 』を成長の切っ掛けにすることが出来るのです!

 

 

《 チームやパートナーとのコミュニケーションを円滑にする考え方とスキルを知る 》

人とのコミュニケーションで『 怒り 』を生むのは、『 思い込み 』や『 価値観 』のズレと、人それぞれの表現の仕方の違いに有ります。

 

ⅰ 「 確認のコミュニケーション 」

信頼関係とは様々なコミュニケーションを重ねた結果として生まれます。

お互いの関係を良好なものにするために、お互いの『 前提 』と『 価値観 』を確認しておくことが大切です。

これは『 怒り 』の予防にもなるのでこまめに行うと良いでしょう。

自分の『 前提 』と『 価値観 』を考えて書いてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

チームメイトやパートナーに聞いてみたい『 前提 』と『 価値観 』が有ったらこの機会に書いて聞いてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ⅱ お互いを尊重しあえるコミュニケーションスキル

自分の意見を我慢したり、相手を責める表現を使ったりすること無く、自分も相手も理解し尊重した上で自分の意見を適切な言い方で伝えるコミュニケーションスキルを身に付けてみましょう。

 

① 自分の気持ちを考える

自分の正直な気持ちはどう言うものなのかをしっかりと特定する。

 

② 相手の気持ちを考える

自分の気持ちを一方的に伝えるのではなく、それを言われた相手がどのように感じるのかを想像します。

 

③ 伝える言葉を考える

『 怒り 』を感じているときの直接的な表現は、「 あなたは間違っている! 」「 あなたはひどい! 」「 あなたは分かってない! 」と言う事を伝えたがっています。

ここを「 あなたは… 」ではなく「 私 」「 自分 」などを主語にして言葉を作りましょう。

自分の伝えたいことを『 私 』『 自分 』などを主語にして書いてみましょう。

表現 例  

私は○○だと思いますが、あなたはどう思いますか?

私は○○だと思い行動したのですが、違いましたか?

私は○○したいと思っています。手伝っていただけませんか?

 

 

 

 

 

 

 

慣れてくると自分の『 怒り 』を飲み込むことなく、かつ散らかすことなくコントロールすることが出来ます。

一方的ではなく、建設的に意図が伝わるような表現が大切なのです。

 

ⅲ 感謝に目を向ける

感謝すると言う考え方は、その人の見るもの、聞くもの、感じるものを全く違ったものにし、生活が実は豊かさに溢れていることを気が付かせてくれます。

日々の簡単な出来事を当たり前にするのではなく、感謝の出来事にして行く事で、物事や人に対して温和に対応できるようになるのです。

日々の出来事を感謝する表現で書いてみましょう。

例  

家族が朝起きた「 おはよう 」とあいさつしてくれた。

今日も一緒に練習してくれた。

今日も送り迎えしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❏ まとめ

今回紹介した【 怒りのコントロール 】は、色々な状況下に生まれる『 怒り 』の感情を、上手く利用したり昇華するためのテクニックです!

一見どうやっても制御できなくなってしまいそうな「キレ」やすい人なども、本気で改善しようとこのトレーニングを行えば、徐々にコントロールの仕方を身に着けることが出来てくると思います!

ただ、1度で簡単に身に付くものでは無いので、何度も反復練習しながら地道に取り組んで行けると良いと思います!

 

この『 怒り 』と言うのはかなり厄介なメンタル問題で、教え子の中にもこれが必要な子がたびたび現れます…

しかし、これを克服した後の選手達は、かなりの成長を見せることが多いのです!

 

今後も、地道に【 怒りのコントロール 】を行って行こうと気合を入れるカタルでした。

 

 

~おしまい~