テニスコーチ カタルが語るブログ

テニスコーチが日々の出来事から思ったことを色々語るブログです

試合で役立つ5種類のメンタルコントロール

 

カタルです。

 

「試合になると、上手くプレー出来ない… 」

「どうしても、途中で集中力が切れてしまう…」 

「良いプレーが出来てると思ったら、急に崩れてプレーが上手くいかなくなる…」

試合に出ている人なら、一度は経験したことがある状況だと思います…

この原因は、技術的な事も有ると思いますが、大抵はメンタル的なコントロールの問題です! 

今回は、試合中のパフォーマンスを向上させ、維持させるためのメンタルコントロール法を、5種類紹介して行きたいと思います!

身に付けるには、習慣づけることも重要なので、地道に練習してみてください!

 

 

 

 

❏ Ⅰ.呼吸のコントロール

呼吸は精神をコントロールする上でかなり大切です。

1つ目に紹介する【 呼吸のコントロール 】は、集中力向上や、リラックスにも使われる、メンタルコントロールの代表です。

呼吸は、腹式呼吸で行うので、練習して身に付けて行きましょう!

 

《 腹式呼吸 》

腹式呼吸で重要なのが、横隔膜を動かしたお腹の動きです。

吸った時は、お腹を膨らませ…

吐いた時には、お腹を凹ませていきます。

それと同時に、息を吸うときは、爽やかで新鮮なものを吸い込むような白色のイメージを…

吐く時は、身体の中の悪いものをすべて吐き出すような、黒色のイメージで行うとより効果的です。

 

それでは、メンタルをコントロールする上での呼吸法を説明して行きたいと思います。

 

① 《 心拍数を下げる呼吸法 》

これは緊張が高まり、心拍数が上がってる状況下での呼吸法です。

 

まず、鼻から息を5秒かけて吸います。

吸い終わったら、息を3秒止めます。

7秒かけて、口から息を吐きだします。

これを、繰り返し行います。

 

緊張をほぐす、気持ちを落ち着かせるなどのリラックス効果や、更に集中力向上の効果が有ります。

 

例えば…

錦織 圭 選手などのプロ選手が、サーブ前やリターン前に、大きく息を吐くなどして、この呼吸法を行ったりしています。

この呼吸法は、メンタルコントロールの基本となるので、意識しなくても自然に行えるぐらいになれる様に、反復練習しておきましょう!

 

② 《 心拍数を上げる呼吸法 》

これは緊張感が無く、心拍数が下がりすぎてしまっている状況下で行う呼吸法です。

 

軽くジャンプをしたり、身体の動に合わせて「フッ」「フッ」「フッ」とローソクの灯を吹き消す時のように細く息を吐きます。

 

この呼吸法での腹式呼吸は、ジャンプなどの動きで生じる横隔膜の揺れに合わせて行います。

吸う意識はあまりせず、自然と入ってきた空気を細かく吐き出す意識をします。

同時に、みぞおちが熱くなるような感覚と、明るい色のイメージで行うとより効果的です。

程よい緊張感に戻す、無気力状態の改善、集中力向上などの効果があります。

すでに引退してしまいましたが、元女王 マリア・シャラポワ 選手が、リターン前などによく行っていた呼吸法です。

過度な緊張状態はプレーのパフォーマンスを落としますが、全く緊張してない状態も、けして良い状態ではありません。

程よい緊張感を保つことがより良い集中力を生み出すのです!

 

 

❏ Ⅱ.視線のコントロール

視線は、その時の心理状態や、心境を表します。

不安を感じてるとき、集中していないときの視線は、きょろきょろと定まらなかったりします。

 

2つ目に紹介する【 視線のコントロール 】は、メンタルに影響される目の動きを逆手にとって、良い状況に導く方法です。

 

① 《 遠近視、集中力アップ法 》

まず近い場所(ガットの網目を見るなど)に視線を置きます。

次に遠くの場所(対戦相手など)に視線を送ります。

視線の遠近を切り替えることで、集中力を向上させる効果があります。

ポイント間に視線がばらけ、気が散ることを予防し、不安の解消、集中力の向上と継続などの効果があります。

プロの選手が、良くガットを直してるしぐさを見ることがありますよね?

あれは、ガットが気になってるのではなく、集中力を上げようとしてる仕草なのです。

 

② 《 フォーカス( フォーカル )ポイント 》

まず自分の中で、『 見たら気持ちを切り替える 』『 見たら集中する 』と決めた場所を作ります。

そこに視線を送ることで、『 気持ちを切り替える 』『 集中する 』の切っ掛けにします。

フォーカスポイント例 ( コートのT字ライン、リストバンド、コートの番号札など )

ある意味、自分に暗示をかけておくことで、気持ちの切り替え、集中力向上の切っ掛けを作る方法です。

プロの選手がピンチの時、コーチの方に目線を送ることがあります… もしかしたらアドバイスを求めているのではなく、気持ちを切り替える切っ掛けにしているのかもしれません。(本気で助けを求めているかもしれませんが…)

 

 

❏ Ⅲ.セルフトーク(言葉と思考のコントロール)

言霊と言う言葉があるように、口にしたことが身体に及ぼす影響は少なくありません。

弱音を吐いたり、ネガティブな発言をすれば、身体もその通りになってしまうのです。

 

3つ目に紹介する【 セルフトーク 】は、そんな言葉の影響力を逆手にっとった、プラス思考を生むテクニックです。

メンタルトレーニングの上でも、重要な役割を果たすので、ぜひ習得してみてください。

 

① 《 マイナスをプラスに変えるセルフトーク 》

人の思考は、基本マイナスです。

それを、プラスに変換できるようになった人が、はたから見てポジティブ  に見えるのです。

これは、自分の感情がマイナスに傾いたところから、プラスに変えていくテクニックです。

  

《 マイナスをプラスに変えるセルフトークの 例 》

 もーだめだ…       

   → まだまだこれからだ!

 なんであんなミスしたんだ…

   → よし!次は修正して入れるぞ!

 こんなんじゃ負けだ…

   → まだ負けたわけじゃない!一本一本集中だ!                  

 全然ショットが入らない…  

   → 狙いすぎなきゃ大丈夫!もっと相手に打たせよう! 

    

 など… 

                                 

② 《 プラスを生み出すセルフトーク 》

自分の気持ちをプラスに保ったり、集中力を高める切っ掛けにするテクニックです。

 

《 プラスを生み出すセルフトーク 例 》

   よし!ここ一本集中だ!

   まだまだいけるぞ!

   ふぅーーー… よし!行くぞ!

   よし!良い感じ、良い感じ!

                                    など…

プラス思考に自分を導くことで、ビビり改善、集中力向上、モチベーションの継続、自信アップなどの効果があります。

基本試合中は、呼吸のコントロール+視線のコントロール+セルフトークといった感じで行うとより効果的です。

先ほど紹介した、マリア・シャラポワ選手は、呼吸法を実行しながらガットを直す動きをし、恐らく心の中でセルフトークも行っていたと思います。

 

 

❏ Ⅳ.聴覚のコントロール

耳から入る情報は、メンタルに少なからず影響を与えます。

これは自分から発信するもの( セルフトーク )と、周囲から入ってくるものがあります。

その中にマイナスなことが入れば、メンタル面もそちらに引っ張られてしまう可能性があります。

4つ目に紹介する【 聴覚のコントロール 】は、聞くことで変わる感情の変化をコントロールして、よい状況を作る方法です。

 

 《 否定を消してモチベーションを上げる(ⅰ) 》

試合前に、好きな音楽や調子の上がる音楽を聴き、外部からくるマイナスな情報を遮断しつつモチベーションと集中力を高めていきます。

 《 否定を消してモチベーションを上げる(ⅱ) 》

否定的な情報が耳に入った時、セルフトークで自分を奮い立たせます。

これは内側からのマイナスだけではなく、外側からのマイナスにも有効です。

耳から入るマイナスを遮断したり、ネガティブな感情をセルフトークで上書きすることで、ビビり改善、集中力向上、モチベーションの継続、自信アップなどの効果があります。

プロの選手も、試合直前までイヤホンを付けて、音楽を聴いてたりしてますね。

 

 

❏ Ⅴ.姿勢と行動のコントロール

姿勢の良し悪しは、メンタルの状況を変えていきます。

場合によっては、考えるよりも先に行動が起こり、その後、行動に合わせた感情が表れてくるなんて事も分かって来ています。

例えば、自信なさげな態度や姿勢をしていることで、本当に自信を失ってしまったり、やる気のない態度を見せることで、本当にやる気を失っていったりするのです!

 

5つ目に紹介する【 姿勢と行動のコントロール 】とは、メンタルが姿勢や行動に支配されることを利用したコントロール法です。

 

① 《 ルーティーン 》

ルーティーン(儀式)とは、試合前やプレー前に、決まった行動を毎回行うことを言います。

どんな状況下でも、毎回決まった行動をすることで、環境の変化、状況の変化などからくるストレスを排除し、集中力を高めていきます。

 

《 ルーティーンの例 》

    試合前日はパスタを食べる。

    試合前にジョギングをしながら呼吸のコントロールをする。

    プレー前は軽く3回ジャンプする。

                        など…

同じ行動をどんな状況でもやることで、不安の解消、ビビり改善、集中力向上、モチベーションの継続、自信アップなどの効果があります。

皆さんも、プロの選手がやってるルーティーンを見たことがあると思います。

サーブの前に決まった回数ボールを突く、などが代表例です。

ラファエル・ナダル選手のルーティーンは、プレー前に決まった場所を決まった順番で触ることで有名ですね。

先ほど紹介したマリア・シャラポワ選手の行動も、ルーティンです。

 

…注意点として、自分がコントロールできないことを、ルーティーンに入れないようにしましょう!

 

例.

友達とハイタッチしてからコートに入る。

○○さんが見くれていれば負けない! 

など…

自分でコントロールできないことは、逆に出来なかった時の不安を増幅させたり、むしろプレッシャーを高めてしまうことにもなりかねないので気を付けましょう。

 

② 《 ポジティブな立ち居振る舞い 》

姿勢や行動は脳を支配します。

常に堂々と、自信に満ち溢れたポジティブな立ち居振る舞いをすることで、失敗したり、調子が悪い状況、不安を感じるような場面でも、物事をポジティブに考えることが出来、モチベーションや集中力を落とさずに行動できるようになります。

 

《 ポジティブな姿勢 》

胸骨を上げ、骨盤を立てた状態で頭を身体の真上に置きます。

顎を引き、目線をまっすぐ前に向ければ、背筋が伸びたポジティブな姿勢が出来上がります。

どんな場面でも姿勢を崩さないことで、自信の向上、ネガティブの排除、モチベーションの持続などの効果があります。

元世界No.1のロジャー・フェデラー選手の紳士的な立ち居振る舞いが、まさにこれに当たります。

ロジャー・フェデラー選手は元々気性の激しい選手だったと言われていますが、紳士のような立ち居振る舞いを常に意識し行い続けたことで、王者の品格と、崩れないメンタルを身に付けて行ったのではないかと思います。

 

❏ まとめ

今回紹介した5種類の方法を利用すれば、試合中に起こる精神的なトラブルや、集中力の継続など、自分では制御できないかのように感じる出来事を、上手くコントロールできる可能性を高めることが出来ると思います!

これはテニスだけではなく、あらゆるスポーツでも役に立つ方法だと思いますので、ぜひ活用してみてください。

 

コレを書いたのを切っ掛けに…

選手達に改めて意識させようと心に決めたカタルでした。

 

 

~おしまい~