カタルです。
前回に引き続き、思春期となった教え子との奮闘激、【 思春期と言うジュニア育成の難題… エピソード2 】を書いて行こうと思います!
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これは、前に書いた、【 教え子の成長する瞬間に立ち会える喜び…①、② 】の出来事から1年後、2年後とその子がどう変わり成長して行ったのかを書いた続編です!
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今回の内容では、その時の僕の悩みや苛立ち、教え子の苦悩など、結構重い内容も書かれていますので、そこも踏まえてお読みください。
❏ 県予選!強敵との戦い… 再び…
あの出来事から数ヶ月後…
県予選が始まりました!
シードとして出場した教え子は、順調に勝ち上がり、すでに関東予選出場は決めた状態で更に上位を目指すべく奮闘していました。
そして次の相手が、この間の大会で当たって負けた全国出場者と言うことで、再度その試合を観に行きました。
前回の試合の後、教え子とは話しをし、やる気と意識の確認が出来たことで、その後の練習でもプレーは少し良くなって来ていました!
そして、試合中に崩れたメンタルのコントロールについても練習していたので、少しは改善されてきていると信じ試合会場に向かいました。
早生まれと言う事も有ってか、まだ身体の小さい教え子と相手選手との体格の差は一回り以上ありそうでしたが、試合が始まると練習して来たプレーも冴えわたり、大きい相手を圧倒する形でリードを奪いゲームを連取しました!
〈 よし! しっかり落ち着いたプレーが出来てる! 〉
〈 練習してきたこともしっかり出来ているしナイスプレーだ! 〉
しかし、相手選手もサーブを強化して来たようで、一進一退のキープ合戦となります!
〈 いやぁ~ 相手の子も上手くなってるなぁ~ 〉
〈 ワイドのサーブが中々エグイ… ストロークも前よりミス減ってるしな… 〉
そして…
教え子からの サービングフォーザセット!
〈 ここまで、かなり緊迫したストレスの掛かるゲームをして来てるから、セット取れそうなこういった場面でメンタル崩れる可能性も有るんだよな… 〉
〈 苦しいだろうけど何とか取り切れー! 〉
しかし…
心配は的中し、ここまで保たれていた教え子のメンタリティーが崩壊して行きます…
ファーストポイントはダブルフォルト…
0-15
2ポイント目はファーストが入って相手の甘くなったボールを打ちにいたのがネット…
0-30
3ポイント目は再度ダブルフォルト…
0-40
最後に相手のリターンが深く返って来たのを無理やり打ってアウト…
〈 プレシャーで崩れたかぁ~ 〉
〈 何とか気持ちを切らさないで欲しいけど… 〉
ここで相手の子のプレーに集中力が加わり、ナイスサーブとナイスショットでラブゲームでキープされます…
そして…
そのゲームが終わった後のコートチェンジでは…
下を向き… ダラダラと歩く教え子の姿…
〈 これは… あの時の感じ… 〉
案の定その後のゲームからの教え子のプレーは、『 ヒステリー 』を起こしたように打ちまくり、ミスを連発し、そのまま簡単にセットを取られてしまいます…
〈 うわ! 出た! 〉
〈 やっぱりそう簡単には改善されてなかったかぁ… 〉
〈 これは… 復活できないかもな… 〉
やはり2st 目に入っても雑にミスするプレーが続き、結局その後は1ゲームも取れずに負けてしまいました…
〈 序盤は我慢していて悪くなかったけど、やっぱり自分の思い通りにならなくなってくると『 ヒステリー 』を起こしてしまう感じだな… 〉
〈 このままじゃストレスの高い強い選手との勝負じゃ勝ち目がない… 〉
試合後に気持ちを落ち着かせた後、話しをします。
僕「 自分的にはどうだった? 」
教え子「 最初入ったけど、後半は入らなくなった… 」
「 … 」
僕「 …なんで入らなくなったと思う? 」
教え子「 分かんない… 」
「…」
僕「 自分のメンタルはどうだった? 」
教え子「 別に普通だった… 」
「…」
僕「 序盤はよく我慢していたしプレーも良かった、先に自分のサーブでのセットゲームにもなったしね 」
僕「 ただ… あそこはプレシャーかなり感じたよね!」
僕「 ダブルフォルトも重なってブレイクされて、その後相手の子に良い形でキープされたのはかなりきつかったと思う… 」
僕「 ただ… 本当はあそこでしっかり気持ちを切り替えて、次のプレーに集中したかった… 」
僕「 でも実際のプレーは、まるで上手く行かなかったことに『 ヒステリー 』を起こして八つ当たりしているような雑なプレーだったよ… 」
「 その後のプレーもそのまま復活出来ないままだったしね… 」
僕「 自覚はある? 」
教え子「 分かんない… 」
教え子「 覚えてない… 」
「…」
僕「 じゃあ… 大切なことだからちゃんと思い出そうか! 」
僕「 今日一番の問題は、負けたことよりも最後までちゃんと戦えてないってことだよ! 」
僕「 テニスが上手いか下手かと言うよりも、選手として最後まで立ち向かってプレーできたかどうかなんだ! 」
僕「 それについてはどお思う? 」
「…」
教え子「 出来てなかった… 」
負けた後とはいえ中々な態度と受け答え…
〈 思春期&反抗期… 〉
大分僕も 我慢 して話をしましたが、正直… まあまあイラつきました…w
プレーの内容もさることながら、この受け答え… 普通に話し合いが出来ない…
これは中々ヤバい状態だと改めて感じていました…
基本、メンタル的な問題は、そう簡単には治りません…
地道にメンタルトレーニングを行い改善して行くしかないのですが、一番大切なのが本人の『 自覚 』です…
自分自身がこの状態を『 自覚 』し、本気で改善しようと思わない限りは、中々上手くは行かないのですが…
試合後に話した教え子には、その『 自覚 』と改善しようと言う意識が欠けているように感じました…
❏ 全く成長しようとしない日々…
県予選が終わり、2人の教え子がU12のカテゴリーでは関東予選出場を決めました!
今回の主役になっている教え子は、シード選手として出場することになります。
試合までには後数ヶ月あるので、そこまでに更にパワーアップした状態にして送り出すのが僕らコーチの目標でしたが…
ここに来て、その教え子の成長がぱったりと止まってしまいました…
練習は休むことなく来ていますし、決してさぼったりしているわけでもありません…
しかし、前以上に新たな取り組みに消極的になり、アドバイスをしてもほとんど取り入れようとはしません…
周りの子達がどんどん上達する中、その子のプレーだけが現状維持を図っているかのような状態で、全く進歩が感じられなくなってしまったのです!
この状態は、関東予選出場が決まったころから続いていて、僕のフラストレーションも溜まってきていました!
〈 これはいったい何だ? 〉
〈 やる気が無いわけじゃないのに… 上達しようとする気が無い… 〉
〈 周りの期待に応えようとするプレッシャーから来てるのだろうか? 〉
僕自身は、前々からその子の現状に危機感を感じていましたが…
親御さんや他の父兄の方々は、その子のプレーを絶賛し、褒め言葉や期待感を込めた言葉を投げかけていました…
その一つ一つの言葉が、その子の積極性を削って行ったことが考えられました…
前に書いた【 褒める 】についての記事を読みたい方は、下からどうぞ⇩
前に書いた【 褒める影響 】についての記事を読みたい方は、下からどうぞ⇩
そして僕が特に心配になっていたのが…
〈 この子は、周りからの期待で、テニスがつらくなって来てるんじゃないだろうか? 〉
〈 下手したらこのままバーンアウトしてしまう可能性だって有るんじゃないだうか? 〉
と言う事でした…
❏ 話して分かる《 成功思考 》への傾き…
そこで、関東予選が始まる前にその子と話しをすることにしました。
僕「 最近コーチが気になってることが有るんだけど良いかな? 」
教え子「 え?… はい… 」
僕「 最近、テニスがつらいとかは思ってない? 」
教え子「 …別に… 思ってないです… 」
僕「 そうか… 」
僕「 …これは… 正直に答えてね… 」
教え子 ( コクリ… と頷く… )
僕「 …もしかしたら… お父さんお母さん、周りの人、コーチ達からも期待されていると感じて、それがプレシャーになって苦しくなったりはしてない? 」
教え子「 …なってないです… 」
僕「 ホントに? 」
教え子( コクリ… と頷く… )
「…」
僕「 じゃあ、違う質問をするけど良い? 」
教え子( コクリ… と頷く… )
僕「 今回… 関東が決まった後から、あまり新しいことにトライしなくなっちゃたのはなんで? 」
教え子「 …え…っと… 大きな大会の前で… あまり…プレーを変えたくなかったので… 」
僕「 そうなのか… でも他の出場選手達はもっと上手くなって試合に備えてくるかもしれないよ… 」
「…」
僕「 今回シード選手として出場するけど、それを守る意識じゃなくて、そこから更に上達して行きたいんだよ! 」
僕「 もし、今回関東に出たことを切っ掛けに成長出来なくなったとしたら、逆に出場したことが上達の邪魔になっちゃってるでしょ! 」
教え子( コクリ… と頷く… )
僕「 ここ最近の練習で全く教えたことやらないから、テニスがつらくて辞めたいのかとコーチは思ったよ! 」
僕「 ほんとにそんなこと無い? 」
教え子「 それは… ホントにないです! 」
僕「 分かった! 」
僕「 試合まであと少しだからここから新しいことをしたりはしないけど、この意識は忘れないようにしてね! 」
教え子「 はい! 」
どこまで本当のことを答えたかは分かりませんが、その言葉を信じてやれることをやって行くことにしました…
しかし、一番気になったのが、教え子の思考が、かなり《 成功思考 》になっていると言う事でした…
《 成功思考 》とはこんな感じ…⇩
更に詳しく知りたい方は、下からどうぞ⇩
〈 やっぱり… 早くに結果が出たことと… 周りから感じる期待感が… この子の思考を《 成功思考 》にしてしまってるんだな… 〉
〈 …よくよく考えたら、ほとんどの特徴が、この子の発言や行動に当てはまってるじゃないか! 〉
〈 …何とかこの考え方を変えて行かなければ… 〉
前々から感じていたことでしたが、今回話したことでハッキリと原因が分かって来ていました。
❏ 早くに結果が出た子に起こる《 成功思考 》と言う障害…
幼少期から結果を出し始める子の中には、その後の成長がストップしてしまい、周りの子に追いつかれ追い越される、と言う苦しい経験をしている子が多くいます。
その原因の一つとして、本人や周りの大人の考え方が《 成功思考 》にいなってしまっていることが考えられます!
この考え方になってしまうと、目の前の結果を出すことや、今ある周りからの評価を落とさないようにすることに囚われ、今後必要となるプレーを積極的に取り入れることが出来なかったり(プレーが崩れ、負けてしまう可能性を考えトライできない…)、勝つために実力を上げる以外の手段(ジャッチをイモる、相手に嫌がらせをする、など…)を取る子も出てきたりします。
今回、僕の教え子にはイモるなどの症状は出ていませんでしたが、プレーが崩れるのを恐れたトライ精神の欠落と言う症状が出ていました…
そこにプラスされる思春期と言う不安定な精神状態が、問題をより複雑化させているように思えました…
まだまだ思うように教えられていないストレスを感じながらも、その中でどうにか前に進めて行こうと試行錯誤するカタルでした。
…【 思春期と言うジュニア育成の難題… エピソード3 】に続く…
~おしまい~