カタルです。
何ヶ月か前に、現在大学生で来年から日本リーグ出場チームに就職が決まった元教え子の記事を書いたのですが…
前の記事はこちら⇩tenniscoachkataru.com
今回は、その元教え子のジュニア時代の軌跡をエピソードとして書いた昔の記事を復刻しようと思います!
前回書いた記事【 先を見据えることの重要性!… 】にもつながる部分も有るので、良かったらご覧ください!
前回の記事はこちら⇩tenniscoachkataru.com
❏ 嬉しい報告
「 〇〇大学に合格しました。 」
年末に、教え子から嬉しい報告がありました。
1部リーグの大学に推薦で合格した教え子は、去年はコロナ禍で開催されなかった関東ジュニアで上位シードになる予定だった選手です…
運動センスと言う観点でその子を語ると…
「 不器用でセンスが無い! 」と言う表現になるでしょう…
もしテニスをやっていなければ、スポーツが苦手な子だったかもしれません…
それでも努力を惜しまず取り組んできたその子は、地道に実力をつけ、自分より上にいた選手たちを追い抜きながらここまでやってきました…
今回は、そんな教え子がどのように育ってきたのか?を軽く紹介して行きたいと思います!
❏ 教え子の軌跡…
◎ 始まりは両親の熱意から…
教え子の両親はテニス愛好者で、幼稚園児のその子を熱心に教えていました。
昼の市営コートで両親のどちらかが球出してるのをよく目にしましたが、お父さんは仕事の昼休みに1回帰ってきて教えていたらしく、帰れないときはお母さんが教えていたと言う事でした。
この両親の行動力と熱意…
これが教え子が上達して行く上での基盤になって行ったことは間違いないと思います!
◎ 徐々に芽生える自分の意思…
その子がジュニア選手クラスに入ってからは黙々と練習をしていました。
ただ…
センスが有ると言われるタイプでは無く…
教わったことがすぐには出来ないことが多い子でしたが、地道な努力で徐々に成長して行きました。
U12の時の戦績は、何とかギリギリ関東ジュニアに出場し、1回戦で敗退…
U14の時には、関東ジュニア2回戦まで勝ち上がりましたが、3回戦では大敗し、全日本ジュニアには手が届きませんでした…
決して順風満帆とは言えない選手活動の中でしたが、教え子の意識とやる気はどんどん上がって行き、取り組み方や考え方は一般的な子供とは全然違ったものになって行きました。
今まで強制的にやらされていたことなども、自分から進んで取り組むようになり、自分の意思や考えをコーチに言うことも増え、顔つきも変わって行きました。
◎ 努力が自信に代わる時…
そんな教え子の取り組みと意識を象徴する、印象的なエピソードを紹介します。
その子がU16の下の年代の時…
勝ったら関東ジュニア出場…負けたら出られない…という一戦が有りました。
勝てば、初めて下の年代で関東ジュニアに出れると言うことも有り、気合は十分…
1セットマッチ ノーアド の一発勝負!
いざ!!
…しかし、試合が始まってみると相手のプレーが非常に良く…
逆に教え子のプレーは中々上がって来ません…
終始押される展開のまま…
スコアは 1-5 となり相手のマッチゲームとなってしまいます…
「 こりゃ厳しいなぁ… 」
圧倒的に苦しい状況に周りも僕もあきらめムードになっていた時、教え子のプレーに変化が起こります!
『 自分の方が絶対練習してる! 負けるわけない! 』
マッチゲームを握られてからの教え子のプレーは、序盤こそ必死に食らいつく泥臭いものでしたが、徐々にプレーの質が上がり、大事な場面できっちり打ち切る強気なプレーへと変わって行ったのでした!
…結果は…
7-5での勝利!!
「 自分の方が絶対練習してる!負けるわけない! って言い聞かせてプレーしてたら勝ってました! 」
試合が終わった後の教え子の顔は、晴れ晴れとして、自信に満ち溢れていました!
この経験が、その子がこれまでやってきたことに対する確かな自信ともなり、その後の練習に対しての貪欲さと、向上心にも繋がって行ったのでは無いかと思っています!
◎ ついてきた結果が、さらなる成長へ…
その子が、更に上達する大きなきっかけとなったのは、全中(全国中学生大会)への出場でした!
初の全国ということで緊張もしていましたが、しっかり勝ち上がり、上位シードを破ると言う成果も出すことが出来ました!
その後の中牟田杯(関東上位の選手で行われるU15の関東大会)でもしっかりと勝ち上がり2度目の全国を経験した教え子は、その後もどんどん成長し、その上達スピードには目を見張るものが有りました!
◎ 初めて感じる大きなプレッシャー…
翌年、自分の年代となったU16の関東ジュニアで、自身初となるシード選手となった教え子には、全日本ジュニアへの出場が期待されていました…
そんな中行われた1回戦でしたが…
序盤からプレーが固く、全く足が動いていない…
ボールに入れていないまま打つショットはコートを外し、ミスを連発…
必死にもがきながらのプレーも及ばず…
ストレート負けでの1回戦敗退となりました…
「 こんなに緊張したのは初めてで… 全く思うようにプレーが出来ませんでした… すいません… 」
試合後に泣きながら謝る教え子と話しながら…
これほど責任を感じ、後悔したことは今まで無かったかもしれません…
プレーが上手くいかなかった理由は他にもあったかもしれません…
高校入学後、団体戦の練習などに時間を取られ、自分の練習があまり出来てなかったこと…
それによって、新たな取り組みで挑戦していたプレーが、未完成のままになってしまってたことなど…( これ自体も僕らの責任ですが… )
それより何より…
終わった後の「 すみません… 」が物語るように…
親からも…
コーチからも…
周囲からも…
勝って当たり前と思われているプレシャーに、教え子がさらされていることに気づいて上げれてなかったこと…
その状態のままコートに送り込んでしまったこと…
様々な後悔で、その夜は寝れなかったのを覚えています…
◎ 折れない心…
そんな挫折と言ってもいい敗戦の次の日には…
コートの上で練習する教え子の姿が有りました!
悔しく無かったわけがない…
1日で忘れる事なんて出来るわけがない…
それでもコートに立った教え子は…
翌年…
U18の 全日本ジュニアのコートに立っていました!
◎ 開けた世界と新たな課題…
高校2年生にして、自分の高校のシングル1となった教え子は…
その年のインターハイ予選を勝ち上がり、全国インターハイのシングルスに出場していました…
そして…
今までずっと果たせずにいた全日本ジュニア出場と言う悲願を…
U18の下の年代で、単複両方で果たすことが出来ていたのです!
大会の結果は、シード選手に惜しくも敗退となりましたが、自分のテニスが通用する!と言う自信と共に…
更に上を目指すために必要な課題も見つけることが出来たと言える大会になりました!
❏ 「 全日本ジュニア優勝を目指して! 」
インターハイ、全日本ジュニアと経験を積んだ教え子は、県内では1位の選手となっていました!
そんな教え子が掲げた目標は、「 全日本ジュニア優勝! 」でした!
◎ 目標のための新たな挑戦と苦しみ…
全日本ジュニア優勝のために、新たなプレーへの挑戦やフィジカルのアップにも取り組んでいた教え子でしたが…
新たに身に付けようとしていたプレーが、自分の今までのプレーと上手くかみ合わず、今まで勝っていたライバルたちに負けるなどの苦戦を強いられていました…
元々不器用なその子のプレーには、迷いと不安がにじみ出ていましたが…
あくまで目標は「 全日本ジュニア優勝! 」
今はそのための通過点なんだと言い聞かせ、ひたすらトライし続けていました…
そんな葛藤と苦しみの中、地道に取り組み続けた教え子のプレーは…
その年の県ジュニアを迎えるころには、確かな進化を遂げつつありました!
◎ 果たせぬ思い…
関東ジュニア出場を決めていた教え子にもたらされたのは、新型コロナの影響で関東ジュニアと全日本ジュニアが中止になったと言う発表でした…
このころ…
世界中に新型コロナが広がり、日本でも緊急事態宣言が発令された厳しい時期でした…
仕方がない状況とは言え…
この1年、目標としていた大会が無くなった教え子のショックは計り知れないものがありました…
◎ ブレない意思!新たな目標を胸に…
衝撃の発表が有った翌日…
集中した表情で練習している、教え子の姿がコートには有りました!
「 ショックでしたけど… 仕方ないです… もっと強くなって大学で活躍できるように頑張ります! 」
これがその日、教え子が僕に言った言葉でした!
つらく無かった訳がない…
目の前の目標を失い、気持ちが切れてもおかしくない状況の中…
1日で気持ちを切り替える努力をし、新たな目標を立てて練習に来た教え子のことを…
僕は誇りに思いました!
◎ 更なる成長を遂げて…
「 〇〇大学に合格しました。 」
進学を決めた教え子は今、更なる成長を遂げてきています!
大学入試前、コロナ禍で開催された一般の Jop 大会 に出場し、現役40位台の選手を破るなどの経験も積んだ教え子のプレーには、更に先に進むための準備が出来ていました!
入試前は少し落ちていた練習量も、合格が決まってからは元に戻り…
去年の同じ時期と比べて、全くの別人とも言えるレベルへと進化しています!
◎ ジュニアと大学生の違い…
大学生になるにあたって、僕がジュニア選手達に、常日頃から言い聞かせていたことが有ります…
「 大学で伸びるかどうかは自分次第! 環境が大きく変わる分、自分の目標と意志を強く持つこと! 」
そして大学に入った後の注意点はこちら⇩
ジュニアと言う枠組みから離れた大学生には、数々の誘惑が押し寄せて来ます。
この時、ジュニア時代をどう過ごしてきたのか?がかなり重要な部分を占めるのでは無いかと僕は思っています。
ジュニア時代、無理やりきつい練習をやらされていたり、言われるがまま練習していた選手などは、自分からは全く行動できなくなることが多いのに対し…
自分の目標や意思をしっかり持っている選手は、誰かに言われるでもなく行動するなど、積極的な活動が出来ることが多いと思います!
そして、大学に入った後の一番のメリットは練習量です!
やろうと思えば、ジュニア時代よりはるかに多い練習が可能になります!
ある意味、大学に入った後の上達は、自分次第とも言えるのです!
そんな、どちらにでも転ぶ可能性のある大学部活と言う環境の中で、自分の意志を貫き、最後までやり切った者だけが身に付けられる強さと言うものが存在すると言う事なのです!
◎ 応援するものとして…
これから大学1部リーグと言う厳しい環境に置かれたとき、教え子がどのように成長して行くのかは未知数です…
ずっと教えてた身としては、教え子の不器用さや運動能力の低さは少し心配にはなります…
今までは、それを踏まえてのトレーニングなどを行い、徐々にフィジカル面なども上げてきましたが…
これからは、勝手が違う環境となることでどうなるのか…
おっと!少し過保護になってしまいました…(笑)
きっとこれまでと同様に、教え子は出来ないことも諦めず、地道に一歩一歩前進していくことでしょう!
そして、しっかりと力を付けた教え子がインカレ優勝できるほどの選手に成長し、プロになって世界に羽ばたいていく!
…そんな理想のストーリーを夢見ながら…
今度は応援するものの1人として、静かに見守って行きたいと思っているのです!
❏ まとめ
今回は、日本リーグチームへの就職を決めた元教え子が、ジュニア時代どんな軌跡を歩んできたのかを見てもらおうと思い、その子が大学入学前に書いた記事を復刻してみました!
今は部活も引退し、スクールでジュニアとも一緒に練習してくれているので、後輩選手達の良い刺激になってくれています!
日本リーグチームに入れば、選ばれたハイレベルな選手の中でもまれることになると思いますが、それと同時に仕事と練習の両立と言う難しい環境にも置かれることになります!
ただ、その熱意と向上心には…
そんな中でも更にレベルを上げ、日本リーグや全日本で活躍する姿を見せてくれるだろうと言う期待感が生まれます!
スクールから巣立っても尚、上を目指す気持ちを高め続ける元教え子の成長に、胸が熱くなる思いのカタルでした。
~おしまい~