カタルです。
今回は、ジュニア選手の成長を左右する考え方、『 成功思考 』と『 成長志向 』について説明して行きたいと思います。
この2つの考え方は、ジュニア選手の育成を行う上で、選手本人だけではなく、親御さんやコーチがより理解しておくべきことだと思うので、是非参考にしてみて下さい。
❏ 先に結果を求める『 成功思考 』!
それでは初めに『 成功志向 』と言う考え方はどんなものなのかを説明したいと思います。
❏ 『 成功思考 』の親御さんやコーチ…
・『 成功思考 』の親御さん
試合会場で、負けた子供を大声で叱っている親御さんを見かけることが有ります。
もちろん試合内容によっては、叱られるべくして叱られている場合も有るとは思いますが…
多くの場合は、ただ負けたことに親御さんが激怒していることが多いと感じます…
この行動の根本には『自分を(自分の子を)良く見せたい』という欲求があり、負けたことで自分が否定されたように感じ、プライドを傷つけられた怒りを子供にぶつけているのです!
そういった親御さんは、他の選手と我が子の結果を比較し批判したり…
「ここまで勝ったらご褒美あげるよ」などの言い回しで、勝つことの価値観を植え付けたり…
我が子に失敗をさせないようにと助言をし、思いどうりに行動させようと奮闘したり…
…と、結果にとにかく執着した行動をとって行きます!
この『 成功志向 』の親御さんの行動は、選手の視野を狭め、積極的な挑戦や行動、自分で考える思考を妨げることになり、更なる成長の邪魔になってしまいます!
・『 成功思考 』のコーチ
これは…僕としてはとては残念なことなのですが…
教えているコーチにも『 成功志向 』の行動は見られ、負けた選手を罵倒しているコーチを見かける事が有ります…
少し話がそれますが…
数年前、中学まで教えていた子が、インターハイ(団体)上位に勝ち上がるような高校に推薦で入学したのですが…
そこの監督、コーチの発言と行動には、ガッカリさせられました…
その子が関東ジュニアで1回戦を勝ち上がり、2回戦と言うことで観戦しに行きました。(僕自身は他の教え子の引率で会場入りしていましたが、その子達の試合の合間に見に行きました。)
結果は、結構実力の差がある形での惨敗で、僕としては、「まだまだだなぁ…」「もっとこの辺が出来るようになってればなぁ…」とか思って見てました。
ちなみに、その子は下の年代での出場だったので、来年また頑張ろうと言う状況だったのですが…
その後、監督とコーチに報告している光景は、まさに負けたことに対しての馬頭と、プレーに対しての批判ばかりされてるものだったのです!
…正直、かなりガッカリしました…
その子のプレー自体も、あまり上達したとは言えない物でしたし、それに対して罵倒するだけとか…
選手が怒られて上手くなるなら苦労はしません!
むしろ「来年に向けてこの辺を取り組んで行こう」的なアドバイスを送り、切り替えさせるべき場面だったと思うのですが…
…翌年その子は、関東ジュニアにも出れずに県で負けてしまい、高校卒業後、テニスを辞めました…
…もう2度、その高校に教え子を行かせることは無いでしょう…
…っと話が違う方に行ってしまいそうなので戻しますが…
この監督、コーチの行動も根本には『自分を(自分が教え子を)良く見せたい』という欲求があり、負けたことで自分が否定されたように感じ、プライドを傷つけられた怒りを生徒にぶつけている状態なのです!
この、『 成功思考 』と言う考え方で親御さんやコーチが選手に携わって行くと、選手自身も『 成功思考 』の考え方に囚われるようになり、勝つために手段を選ばなくなったり、(ジャッジでイモる、相手をイラつかせて勝とうとする、など…)プレーが崩れることを恐れて積極的なトライが出来なくなったり、結果を求められ続けることから生まれるストレスとネガティブな感情で、バーンアウトしてしまうなどの色々な障害が出てくるのです!
❏ 先を見据えた取り組みを求める『 成長思考 』…
では『 成長志向 』と言う考え方はどんなものなのかを説明したいと思います。
❏ 『 成長思考 』の親御さんとコーチ
・『 成長思考 』の親御さん
『 成長志向 』の親御さんは、目の前の結果で一喜一憂するのでは無く、そこまでの努力やプレーの中での頑張りなどの過程を褒めます。
基本あれこれ手伝ったり、口出ししたりも少なく、一見放任主義の様に見えますが、静かに見守りながらサポートしています。
前に書いた褒め方の記事を読んでみたいと言う方は下からどうぞ⇩
tenniscoachkataru.hatenablog.com
・『 成長思考 』のコーチ
『 成長志向 』のコーチは、勝っても負けても目の前の結果だけではなく、更に先を見据えた考え方と取り組みを促しながら、新たな課題や目標を設定し、常に先に向かって進むことを続けて行ける状況を作って行きます。
プラスで選手個人で考えさせることも多く、選手の気づきを大切にします!
この『 成長志向 』と言う考え方は、一見、勝っても負けても良いと言ってるように受け止められがちですが、目の前の結果を【 長期目標 】に向かうための通過点と考えていて、【 短期目標 】である目の前のことにも全力を注ぎ、その結果から学び、更に先の目標に向けて進んで行く…
つまり、目の前の結果は、途中経過の確認と考え、その結果を参考に、更に先に有る【 長期目標 】を達成しようと努力し続けると言う考え方なのです!
前に書いた目標についての記事を読んでみたいと言う方は下からどうぞ⇩
tenniscoachkataru.hatenablog.com
この考え方は、選手の更なる挑戦を後押しし、成長の加速を誘発して行く動力源になります!
❏ 明暗を分ける『 成功思考 』と『 成長思考 』!
幼少期に結果を出した子の中には、その結果が足かせとなり、その後の上達を妨げてしまっている子もいたりします。
これは結果が出たことで選手の思考が『 成功志向 』になってしまい、積極的な挑戦が出来ない状態に陥てしまうことから生まれる伸び悩みです。
ここで…
このこととは別に理解しておきたいのが、ジュニアの成長スピードには個人差があり、年齢が上がって行くにつれてその差が埋まって行く傾向にあると言うことです!
このジュニアの成長については少し前に書いた〚 「センス」は磨くもの… 〛の中の「❏ 理解しておきたい SLv の差…」と〚 とにかくジュニアを育てたい!…〛の中の「❏ 目先の結果ではなく、先を…」でも説明してますのでもし良かったらどうぞ⇩
記事を読んでみたいと言う方は【目次】から「❏ 目先の結果ではなく、先を見据えた取り組みを!」へどうぞ⇩
tenniscoachkataru.hatenablog.com
記事を読んでみたいと言う方は【目次】から「❏ 理解しておきたい SLv の差!「 センスが有る!」と言う言葉の落とし穴!」へどうぞ⇩
tenniscoachkataru.hatenablog.com
この2つの要素が伴って、幼少期に勝っていた子が実力的にも抜かれてしまい、全く勝てなくなったりすることがよく起こります!
片や、早い段階から『 成長志向 』となった選手は、結果が出ても出なくても、更に自分のプレーを伸ばすことに力を入れることが出来、伸び悩むことなく成果を出せる可能性が高くなります!
仮に、お子さんや教え子の考え方が『 成功志向 』となってしまった場合、本人との話し合いでそれを自覚させ、メンタルトレーニングを行います。
まずは最終的に何を目指していくのか?(【長期目標】)を明確にし、そのために何が必要かを話し合います!
次に、意識できる少し近場の目標(【中期目標】)を立て、そのために必要な目の前の目標(【短期目標】)を立てます。
この取り組みによって、いきなりとは中々行きませんが、徐々に考え方を『 成長志向 』へと切り替えることが出来、更に成長して行ける状態へと変えることが出来ます!
この、目標を使ったメンタルトレーニングの詳しい情報は、先ほども紹介した〚 目標はモチベーションを… 〛の中に書きましたので、気になる方はご覧ください。
目標を使ったメンタルトレーニングについての記事を読んでみたいと言う方は下からどうぞ⇩
tenniscoachkataru.hatenablog.com
❏ まとめ
今回は、ジュニア選手の成長を左右する考え方、『 成功思考 』と『 成長志向 』について説明して来ました。
親御さんとしては、我が子には失敗をさせず、最短の道で強くなってほしいと考えてしまいがちですが…
多くの失敗や、苦しみを、乗り越える経験をしながら選手は成長していきます!
テニスの表面的な技術だけではなく、肉体的にも精神的にも成長していくからこそ、勝てる選手になれるのだと理解しておきましょう!
今現在教えている子の中にも、幼少期から結果を出し、一時成長が止まったかのように上達しなくなった子がいました…
今はその子も良い感じの成長を見せるようになりましたが、また、何時この『 成功思考 』の魔の手が襲ってくるかも分かりません!
常日頃から、教え子の状態に気を配りながらの指導を心掛けようと、気を引き締めるカタルでした。
~おしまい~