テニスコーチ カタルが語るブログ

テニスコーチが日々の出来事から思ったことを色々語るブログです

それ毒を盛られてるよ!って話。

カタルです。

前回、【 褒めて伸ばす 】についての記事を書きましたが、今回は、それに関連した話として、幼少期からテニスをしているジュニア選手に聞かせた話を、詳しい説明も踏まえて語って行こうと思います。

 

前回の記事を読んでみたいと言う方は下からどうぞ⇩

tenniscoachkataru.hatenablog.com

 

 

 

 

❏ 褒められるって気分が上がる… でも…

人は褒められると悪い気はしないものですよね。

それは、大人でも子供でも同じです…

僕も昔、褒められたりして気分良くなった経験がありますが、今思えば、それによって生まれる感情によって、色々な障害や、足かせをはめてしまっていたなと言う思いが有ります。

 

これを、僕は毒を盛られると表現しています!

 

褒められてる時、人はそのことが大きく印象に残ります…

そして、知らず知らずのうちに、褒められたことを自分の特徴と認識し、意識するようになります。

 

これは、結果として良いものになる時も有れば、良くないものになる時も有るのです!

 

例えば、「君は最後まで絶対諦めないよね。」と言われてそれを意識している人は、ホントに最後まで粘り強い行動を取ったりしますが、「君は練習してないのにこんなにできるんだね!センスがあるよね!」なんて言われた人は、練習を適当にやったり、練習嫌いを公言したり、センスをアピールする行動に出たりします。

 

このように、褒められ方一つで、その後の行動や、考え方が変わって行く可能性があるのです!

 

❏ 毒を盛られた子供達…

僕が教えているジュニア選手の中でも、低年齢から試合に出ている子には、すでに毒を盛られている子が多くいます。

  

「小さいのにこんなことできて凄いね!」

「年上の子に勝てるなんて凄いね!」

「こんなにできて、君才能あるよ!」

「何やらせてもすぐ出来るんだね!」

「天才だ!」…etc

 

この褒められ方の悪影響は想像できるでしょうか?

  

すでに毒を盛られている子の多くは、行動力や、トライ精神にかけて行く事が多く、自分が分からないことや、出来ないことに対しては、ごまかしたり、適当にやったり、出来てるふりをしたりします。

 

時には、褒められ続けてどんどん上達する子もいますが、最終的に挫折したり、人間性に難あり(態度が悪かったり、調子に乗っていたり、言い訳がましかったり…)なことが多いのです。

 

❏ 毒を盛ったことに気が付かない大人たち…

そして…

厄介なのは、この褒めるが起こす悪影響を、褒めている本人が全く気が付いていないと言うことです…

特に低年齢のジュニア選手は、親御さんや周りの大人たち、時には教えているコーチから投げかけられる言葉の影響を、大きく受けています!

これは、僕らコーチが気を付け、しっかりジュニア選手達にも伝えておかないといけないことだと、僕は考えているのです。

 

❏ 僕がジュニアの子たちに言ったこと…

これは、小2~小5ぐらいのジュニア選手たちと話した会話です…

 

僕「みんなは、今までテニスのことや、テニス以外のことでも良いから、褒められたことはあるかな?」

Jr達「ある!ある!」

僕「どんなことで褒められた?」

Jr「テストでいい点数取った時!」

Jr「試合で勝った時!」

Jr「ちゃんと片付け出来たとき!」

僕「なるほどね。」

僕「こっから結構大事な話だからよく聞いてね。」

僕「今いるみんなは、 kids クラスからテニスをしている子がほとんどでだよね。」

Jr「うん」 

僕「そして今、選手クラスで練習したり、自主練してたり、試合に出たりして、見てる周りの大人の人に、『小さいのに、こんなに打てて凄いね!』とか言われたことあるでしょ?」

Jr達「ある。」

僕「みんなに、今日覚えといてほしいのは、それ…『 毒を盛られているんだよ』ってこと。」

Jr達「どく?どういうこと?」 

僕「ほめる物には大きく分けて2種類あって、行動をほめるか?、能力をほめるか?なんだよ。」

僕「頑張って行動したことを褒められた人は、次も頑張ろうとするけど、『才能あるね!』みたいに能力を褒められた人は、能力があるように見せようとしちゃうんだ。」

僕「周りに、『凄いね、すぐ出来るね、センスあるねぇ』って言われることで、凄いって思われよう、出来るとこを見せよう、って行動に出ちゃったりするんだよ。」

僕「そうすると、自分がすぐ出来ないと、能力が無いって思われちゃうと思って、出来ないことから逃げたり、ちゃんと取り組まなかったりして、上達しなくなったりするんだよ。」

僕「これ… 褒められたことがみんなの邪魔になってるよね…まるで毒を飲まされているみたいでしょ。」

僕「意味分かる?」

Jr達「うん」 

僕「今日の練習でも、少し難しいこともやったけど、その時に頑張って練習してた子もいたけど、出来ないのを笑ってゴマ化したりしてた子もいたよね。」

僕「これ… さっきの話と一緒なの分かるかな?」

Jr達「分かる!」 

僕「みんなは選手クラスに上手くなるため、強くなるため、に入ったはずだよね!」

僕「ごまかして上手く見せるためじゃないよね!」

Jr達「はい!」「違います!」  

僕「失敗をしないで上手くなることは無いんだから、一杯挑戦して、一杯失敗しよう!」

僕「覚えが速くても、遅くても、最終的にしっかり覚えて、出来るようになれば一緒でしょ!」

僕「本番でもしっかり出来るように、ちゃんと努力することが大事なんだよ!」

僕「分かった人!」

Jr達「はい!」

僕「OK!」

僕「そして、コーチたちは、みんなの行動や頑張りを褒めるからね!覚えといて!」

Jr達「はい!」

 

 

❏ まとめ

褒め方って難しいなとつくづく思います。

良かれと思って言った言葉が、成長の妨げになる事も有るなんて…

普通思いませんよね…

今回のジュニアとの会話は、毒を盛られてる子が結構いるなと感じたので、少し難しいけど話しました。

低年齢でも、何度も会話をすることで、結構理解できるようになるものです。

子供の成長は凄いですね!

 

まだまだコーチングには気づきや学びが沢山あるのだと気を引き締めるカタルでした。

 

~おしまい~