テニスコーチ カタルが語るブログ

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ジュニアを伸ばす褒め方、褒めて伸ばすの現実を語る

 
カタルです。
 
今回は、前回の記事で少しだけ話した【 褒めて伸ばす 】の本当の使い方と、気を付けないといけない間違った使い方について語って行こうと思います。
 

前回の記事を読んでみたいと言う方は下からどうぞ⇩

tenniscoachkataru.hatenablog.com

 

 

 

 

❏ 【 褒めて伸ばす 】を主張する保護者…

「叱ってはいけません、褒めて伸ばしましょう」

 

よく聞くフレーズですよね…

長年コーチをしていると、選手クラスに入るジュニアの親御さんに「うちの子をあまり叱らないでやってください、うちの子は褒めて伸びるタイプなんです」と言われることがあります…

その度に僕は「このクラスはそういうクラスではありません!褒めるだけで選手は育たないので強く叱ることもあります!」と言います。

 

僕は【 褒めて伸ばす 】と言う考え方を、否定しているわけではありません!

子供は、褒められることでやる気が出たり、自信がついたり、その分野での努力が出来るようになったりします。(大人もですが…)

褒めることが「能力」を伸ばす上で、欠かせない調味料になることは間違いありません!

ただ、「うちの子をあまり叱らないでやってください、うちの子は褒めて伸びるタイプなんです」 これを言う親御さんのほとんどは【 褒めて伸ばす 】の解釈を間違えていると思っています。

もし【 褒めて伸ばす 】を成功している親御さんがいたとしたら、このフレーズを 僕らに言うことはないと確信しているからです!

 

 

❏  間違った【 褒めて伸ばす 】の表と裏…

間違った【褒めて伸ばす】を実行している家庭は、ぱっと見はとてもうまくいっているように見えます。

お父さんもお母さんもにこやかで子供も自由に笑いながら過ごしています。

…幸せそうな家庭ですね。

しかし…

選手クラスとして深く携わって行くと、子供の精神年齢が低かったり、「人間性」の成長が乏しいなど、様々な問題が浮き彫りになって行きます!

ここで【 褒めて伸ばす 】を失敗しているジュニアの例をあげておきます⇩

【褒めて伸ばす】を失敗しているジュニアの例

苦手なことから逃げる失敗を怖がりトライできないあきらめが早いプライドが異常に高い人と比べる人より出来ていることをアピールするコーチや親御さんの前でしか頑張らないほめられないと頑張らない出来ないとやる気をなくす謝れない挫折から立ち直れない怒られると復活できない上手く行かないとふてくされるキレる自己中心的わがままだだをこねる人の話を聞けない痛みに異常に弱い謝れない など…

間違った褒められ方をしてきたジュニアは数々の課題を抱えています。

これらを大きく分けると、青文字 トライ精神の欠落型と、赤文字 回復力、我慢の欠落型に分かれます。

トライ精神の欠落は、成長を妨げる褒められ方をされて来たことで、自分に能力が無いと思われたくない、人に出来ないところを見られたくない、などの感情から起こります。

回復力、我慢の欠落は、甘やかされ 来たことで、自分の思い通りにならない経験、失敗した経験、怒られた経験などが極端に少ないことで起こります。

 

でわ、この2つのタイプについて詳しく見て行きましょう!

 

 

❏ 「 トライ精神の欠落 」成長する褒め方と成長を妨げる褒め方

褒め方①

「君には才能がある」「君にはセンスがある」「何でもすぐできるんだね」「君はとても頭がいいね」「運動神経がすごいね」「君は天才だ!」

褒め方②

「よく頑張ったね」「努力の成果だよ」「出来るようになったね」「よく挑戦したね」「よく挽回したね」「最後まで諦めなかったね」「練習の成果だよ」

上の①と②、共に何かを成し遂げた時の褒め言葉ですが、何が違うか分かりますか?

 

①はその子の「能力」を褒めていて、②はその子の「行動」やそこまでの「過程」を褒めています。

 

どちらも褒められて嬉しい気持ちは変わらないと思いますが、その後の行動に違いが出てきます。

「能力」を褒められた子供は、その後も「能力」が高いと周りに見てもらうことに意識が行き、自分の出来そうなことや知ってることは得意げに行いますが、出来なそうなことや分からないことは避けたり、取り組まずにごまかすなどの行動をとります。

 

まさに、苦手なことから逃げる失敗を怖がりトライできない、というトライ精神の欠落 状態になってしまうのです!

そして、出来なかったり、失敗をしたときに、自分には「能力」がない、才能がないと考え、どんどんやる気をなくしていきます。

 

一方「行動」や「過程」を褒められた子は、次も挑戦しよう、努力しようと考え行動するようになります。

自分の「能力」が高いと思われることよりも、「能力」をもっと高めることを考え、難しい課題にも挑戦し、自分に出来ないことや分からないことを、むしろ楽しみながら取り組みます。

そして、出来なかったり、失敗をするたびに、学びを感じ、どんどん成長していくのです。

  

①の褒め方と②のほめ方、同じ褒めるでも何にたいして褒めるのか?で効果は全く違ってしまいます。

①と②の褒め方の成果を見比べた時、①の褒め方は【褒めて伸ばす】の失敗を生み、②の褒め方は【褒めて伸ばす】を成功させると考えて良いのではないでしょうか!

 

 

❏ 「回復力、我慢の欠落 」それは【 褒めて伸ばす 】なのか?甘やかしなのか?

先ほども言いましたが、僕は【褒めて伸ばす】を否定しているわけではありません!

 

ただ…

【褒めて伸ばす】の解釈が、《 悪いことをしても叱らない 》だったとしたら…

悪いことをしても叱らず、だだをこねたら言うことを聞き、欲しいものはすぐ買い与え、少しでもやなことが有ったら練習や学校を休ませ、靴や服を毎回着させてあげる…などなど…

 

これは…

もう【褒めて伸ばす】ではなく、ただただ 甘やかし ているだけです!

 

ダメなことをしたらダメと教え、間違ってることは間違ってると教え、良い時には良いと教える、それが本来の親の役割だと思いませんか?

 

それを怠り、甘やかし 続けたことで、挫折から立ち直れない、怒られると復活できない上手く行かないとふてくされるキレる、といった回復力、我慢の欠落状態になってしまうのです!

 

そして…

「うちの子をあまり叱らないでやってください、うちの子は褒めて伸びるタイプなんです」

これを言う親御さんは、この 甘やかし を行っている可能性が極めて高いのです!

 

 

❏ 【 褒めて伸ばす 】のホントの意味

「叱ってはいけません、褒めて伸ばしましょう」

 

もしこの言葉を正しく伝えるなら…

 

「失敗に対して叱ってはいけません、そこまでの努力を褒めて伸ばしましょう」

 

だと僕は思っています。

 

【褒めて伸ばす】の本当の意味は、成長するための挑戦や努力を褒めることで、自ら進んで学ぶことのできる「人間性」を身に付けさせることにあると思います。

 

子供は、自ら「成長したい」、「学びたい」と思い行動しだしたとき、とてつもない力を発揮するものなのです!

 

 

❏ まとめ

今回は、【褒めて伸ばす】の本当の使い方と間違った使い方について説明してきました。

褒めると言うことは、子供の能力を高める上でとても大切なことですが、褒め方次第で逆効果になることもあると知っておくことが重要だと思います。

 

僕が教えているジュニアの子たちも、一番上のクラスまで上がり、最後までやり続けた(やはり途中でやめていく子は多くいます)選手たちは、なかなか立派です。

考え方、行動、発言…

『成長したなぁ~』とつくづく感じます。

 

これから更に成長していくであろう選手たちを、これからもしっかり支えて行こうと、改めて気合を入れるカタルでした。

 

 

~おしまい~